グッドジョブ本人

丁寧に生きている記録

思い出おじさんを殺した「トレインスポッティング2」

ヘロイン漬けの若者がヒーヒー言いながら未来を選ぶ様子をコミカルでシニカルに描いた傑作「トレインスポッティング」の続編「T2 トレインスポッティング」が、ついに日本上陸した。私はいそいそ初日に映画館へ向かったら、期待以上の内容に「まさかこんな…!」と頭が沸騰。半日以上経った今も、異様に趣味が合う人に一目惚れして今ようやく帰ってきたところーみたいな興奮状態です。おれの人生は最高。

まず言っておくと、この作品は「単なる20年後」の話だった。作品は自分と同じ歩幅で97年から2016年に移動した。ユアン・マクレガーはピタピタのTシャツを着た丸坊主から目元のシワが際立つ重ね着おじさんになり、ほかのメンバーも、舞台となるエジンバラも、作中のテクノロジーなどなどもすべてがすべて等しく20年進む。で、そうしたさまざまなものたちを使い、ダニー・ボイルなど前回と同じ制作陣が同じ空気感の作品を作っている。あまりにも自然な経年変化は確実に狙って作ってるだろと思うくらい絶妙な湯加減のノスタルジー。懐かしいが確実に月日は流れていて、けれどもやはり懐かしいねってなる。

その上で、この作品は「完璧な続編」だった。上述の「トレスポ」然とした佇まいはもちろん、前作ラストから続けられるんかいと思ってた4人+ダイアンがものすごく自然な形で「T2」のキャラクターとして動き、前回見せなかったそれぞれの身の内を今作の新要素としてたくさん見せてくれる。少なくともストーリーとしては「T1」「T2」が並んで初めて「トレインスポッティング」が終わる、といっても過言じゃないようなしっかりした筋書きが、鑑賞後の満足感をしっかりと与えてくれる。

でも、「T2」がヤバいのはそんなノスタルおじさん大満足要素だけじゃない。それをなつかしいねえよかったねえと話すだけの、脳に脂肪がつきまくったex.シネマライズちゃんを徹底的にぶちのめしてくれるところだ。

「T2」は映像、音楽にエディットをかけまくり、人物とストーリーをねじりまくるおなじみの手練で徹底的に「T1」とそのシンパの首を締め上げていった。トレインスポッティングと言えばひたすら現代社会を敵にしていたのに、まさか愛好家、こっちにまで牙を向けてくるかよ!と、印象的なシーンを目にしてひたすらざわざわし、ラストシーンで前作とは真逆の、だけども確かなカタルシスを得ることができた。

「T2 トレインスポッティング」は、「トレインスポッティング」が好きな人だけを見据えて正面から全力で走ってきた作品だった。だからおれ思うんすよ。キャラクターのみじめさ、会話のテンポ良さ、音楽や映像のトリッキーさ、情報量の多さが好きな人は観てほしいし、もっと言うと、その中で「Choose Life」のフレーズに我が身を重ねたり、ラストシーンから得体の知れない感情の起こりを知ったりして今に至ってる人なんかには、絶対に観ない人生を歩んでほしくない。この作品を観て、ちょっと明日のことについていろいろ話したいです。

www.t2trainspotting.jp