グッドジョブ本人

こんなにも世の中には良いものや面白いものがあふれていたということをやんわりと残す

アイドル現場に向かったら、そこはtipToe.という幻の高校生活だった

間もなく子どもが産まれる。親としての自覚はまだない。ただ、先に産まれて生活してる立場としては絶対に教えたいことがいくつかあって、その中でわりと切実なものは「男子校にだけは行くな」ってやつ。これは具体的な助言として自信を持って言える。

学園祭のあと校庭でキャンプファイヤーだと?そのあとクラスでカラオケ打ち上げだと?あれあのふたりどこいっただと?みんなーあいつら階段で告白してるぞだと?なにそれもう本当にルサンチマンだ。もちろん異性の目がないことでできた楽しいことも沢山あったけど、やっぱり長年社会生活を営まねばならぬ人生において、血気盛んな頃の隔離生活はあまりに不自然だ。ああ、もし人生をやり直せるのなら共学を出たい……!そんな気持ちでいたら、アイドル現場にそれがあったよ。

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tipToe.|アイドルグループ「tipToe.」公式ウェブサイト

背伸びを意味するグループ名tipToe.(ティップトー)。「みんなで青春しませんか?」がコンセプトの等身大センチメンタルアイドルグループで、メンバー任期は3年間の6人組だ。

もともとは先日のアイドルネッサンス解散の喪失感を埋めるべくTwitterで「なんかこういうのないか!曲がよくてYouth感がすごいやつ!」などと求めていたら2つレスがあり、2名とも彼女たちをオススメしてきたので聴いたら即日のめりこんだのがきっかけだ。楽曲は、四分打ちハイハットの疾走感ロックに□□□や相対性理論のようなインテリ譜割り、チップチューンなどの00年代要素が混ざりあうヴィレヴァンポップスが多い。そこに、転調やポエトリー気味のラップがスパイスとしてもぐりこんでいる。全然気が抜けない佳曲ばかりだ。

1stアルバム「magic hour」がリリースしたばかり、まだ10曲ちょいしかないレパートリーなのにこんなに…ありがてえ…!ってなる日々の中で2度目となるワンマンがあると知り、4月14日に渋谷DESEOで行われた 単独公演「blue moment」に行った。

ライブは最近グループに導入されたバンドセット30分、バンドなしパフォーマンスも同じくらいで、アンコールにはアコースティックバージョンも挟むという盛りだくさん構成。動員100人程度のいわゆる地下アイドル単独は初めてで少しドキドキしつつ、割と荒い進行やPAが面白かった。

で、そこで僕は見てしまったのだ。ステージの上に、僕が体験できなかったはずの世界があって、それをこの目で見てしまったのだ。

学校は、年齢と地域、あと偏差値くらいでしかグルーピングされない。tipToe.はそんなカルチャーフィルターのない箱物社会そのもの。中西里菜やまぐちりこ的パーツはっきり系ルックスでMCもアイドル現場的な花咲なつみがいて、その隣に優等生的な都塚寧々がいるとかでtipToe.はキャラクターが全員違う。グループアイドルって同じスタジオでトレーニングしてるとか同じ釜の飯喰って活動してるとかで均一化されそうなものなのに、それをほとんど感じなかった。

6人ならではのフォーメーションを活かしたパフォーマンスは、1人ひとりを見てるとそれぞれ得意分野や実力がかなり違っていそうで、ステージ上で見せる熱量もさまざま。アンコール以外ナマだったであろう歌声もラピスラズリのぶつかり合いだった。でもそれが不統一感となってモヤモヤすることはなく、各自いろんな想いを抱きながらマイペースに過ごす、学校の日常感として観る側を楽しませてくれた。こんなアイドルグループがあるのか…!

アイドル単独って最後はひとりずつエモいこと言って涙でグズグズになりながら「ありがとうございましたーーーー!!!」と幕を下ろすみたいなイメージだったけど、そういうカタルシスはなく穏やかに閉幕。いやこれ、いいぞ。これから露出回数を増すことでどんどん洗練されていきそうだけど、どこかにずっとこの空気を捨てきれないまま活動してほしい。tipToe.のクラスメート感は抜群。こういう体験を僕はずっと待っていたんだ。