グッドジョブ本人

丁寧に生きている記録

スピッツ30周年ツアー野外公演は人生のクライマックスだった

スピッツが今年で結成30周年を迎え、現在はアニバーサリーツアー「SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”」を行っている。本日も日本武道館はすごいことになったことだろう。

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私は「アリーナ会場でのフェス」というコンセプトのツアー「FESTIVARENA」で選曲の妙にヤラれてスピッツ熱を再燃させ、つい昨年もド傑作「醒めない」にグッときた関係で旅行ついでの沖縄ツアーファイナル遠征を果たした。そのときに草野マサムネが今ツアーをぼんやり予告したので、自分は今ツアーの予算をさっそく確保。そして年明けてめでたく今ツアーが発表され、私は「8月11、12日の香川・さぬき市野外音楽広場テアトロン公演しかない!」と即決した。

スピッツ、アニバーサリー、真夏、野外

香川を選んだのは首都圏での争奪戦を避けたというのと、ツアー唯一の野外公演だということがデカかった。しかも夏休みだぞ?!

そもそもテアトロンは、ももクロのイベントレポ写真で知っていた場所だった。古代ギリシャの野外劇場を模した造りで、ステージ背後には瀬戸内海が広がっているという贅沢ロケーションがなんとも素敵じゃないかっていう。アメリカにRed Rocksという岩山切り出し型のすばらしい野外ギグ場があるけど、日本だったらそこに海とうどんまで付いてくる!香川ァ!最高の思い出つか!!!!ってなるよな。この写真見て何も感じなかったらその感性は嘘だよ。

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http://www.city.sanuki.kagawa.jp/sightseeing/sights/oogushi/theatron

順路の絶景

ライブ初日は当日昼すぎまで高知でよさこいを楽しみ、レンタカーで四国の右上のほうへと向かった。「さぬき市というからにはうどん食べてみたいよな」みたいな話を車中でしながら高速降りて渋滞にIN。結局なんで混んでいたのか最後までよくわからなかった長蛇を30分ほどで抜け、臨時駐車場に到着する。車を降り、香川の空に「ヌケ感すごい!」とびっくりしたり「8823」ナンバーの青い車を見つけてニヤニヤしたりとさっそく忙しかった。

駐車場からシャトルバスで揺られること30分弱。下車した先の小高い丘には、またもや入場までの長蛇の列が発生していた。開演まであと15分位だというのに勘弁してくれよ…と思いながら、列がどれほど伸びているか様子を伺って、そこで「うわわわわ…」と情けない声を上げてしまった。

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こんなの冗談じゃない。雲がなかったら吸い込まれそうなくらい圧倒的にポッカリと広がる空と、波が見えることでギリギリ水ってわかるといっても過言じゃない瀬戸内海。東京だったらこの絶景だけでも目的地になりうる。それがライブ会場の手前だなんて本気でどうかしてると思った。この場に来るまでチケ代とは別に駐車場2500円にバス往復1800円だったぜクソがなんて言ーわない♡

結局、開演時間をけっこう過ぎるまでスタートは延び、おかげさまでライブは最初から観ることができた。

#最高の夏になりすぎたな

筆舌しがたいライブのこと、たくさん書いていきたい。選曲は2日間とも「ベストアルバムを携えた周年ツアー」としか呼びようのない高火力で、まるで童貞が好きな子のために作ったカセットテープのようなド直球ばかり。しかもプレイされる曲の一つひとつに「ああ、あの人とカラオケに行ったときにこの曲歌ってたな」「CDTVで / WOWOWで / あのドラマで、この曲リピートしていたな」とこべりついた思い出を消化しきる余裕なく次の思い出が襲い掛かってくるみたいな流れだ。

その上このギグでは、テアトロンが大自然をフルに使って攻めてきてた。会場後方の林から届くセミしぐれがスローナンバーの静かなイントロなどにコラージュしてくるわ、空は楽曲ごとに色や雲の形を調整してくれるわ、しまいには瀬戸内海を泳ぐ船が激しい曲中でも悠々と動いたり夜にポツリポツリと明かりを灯したりして楽しませるわ…会場一帯にあるすべてが特別な時間を作るための装置として相互作用した。ラーメンどんぶりを真っ二つにしたような急勾配の客席に埋まる公称1万2000人のオーディエンスも私と同じく思い思いに楽しんでいて、それもまた高揚につながる。

「スピッツには夏向きの曲がない」と苦笑しながら音頭のリズムで「チェリー」を一節歌って観客を笑わせつつ、そこから「音頭にしようがない歌ですが」と彼らの代表曲を不意打ちにプレイしてくるなど「もう堪忍してください」と感情がクタクタになるような選曲でしっかりと楽しませた3時間。アンコールが終わってメンバーが去り、いやいやこれは生涯で五本の指に入るレベル、ってか我が生涯の沿革に刻まれそうな大イベントだ、最高の夏になったなと隣に話しかけようとした瞬間。すべての照明が落ち闇に染まる。そして上がる無数の打ち上げ花火。私の隣人は「もう無理!」とむせんだ。大丈夫、おれも無理だ。こんなのオーバーキルが過ぎるよ。

スピッツが好きでよかったという2日間

初コンサートはスピッツだ。私は「ハチミツ」というアルバムにのめり込んだことと中1マンの「ライブというものに行ってみたい」という体験欲求を絡ませて、ぴあ欄外の個人売買コーナーでペアチケットを購入。当時まだサブカルチャーという名前すら知らないままに「本流とは違うカッコよさ」を話せる異性の友だち(クラスに馴染めてない転校生)を誘った。恋心などもちろんないのに、自宅の電話から「行かない?」と言って初めて「あっこれいわゆるデートの誘いくさい?」と急に恥ずかしくなったりしたのに、結局前日に「やっぱりやめとく」と断られた。そして名古屋市民会館大ホールにて隣を空席にしたまま聴いたスピッツ。帰宅したらテレビでドラマの第1話が流れていて、主題歌はその日のライブのラストチューン「空も飛べるはず」だった。

それから私は今日までおそらく1000を超えるステージを観て、いろんなところに心を動かされ続けてきた。ボーカルの技量に感嘆の声を上げた夜も、解散ライブで涙した日も、フェス会場後方でベロンベロンになって大合唱を楽しんだ時間も。

そしてようやくたどり着いた30周年スピッツは、本来の「楽曲の良さ」に加えて「それらへの自分の思い入れ」を足し、さらに「環境」「環境」「環境」「環境」…とドラを鬼乗せした、数え役満みたいなライブで来てくれた。ただ感謝、ただ感謝である。

もちろんそんなことはない、ないはずなんだけど、まるでこの公演はこれまでずっと好きで聴いてきた自分が祝福されているかのような気持ちでいる。ごほうびのような時間を泳いだ香川の2日間だった。

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