グッドジョブ本人

丁寧に生きている記録

いないを知る儀式 〜 BOOM BOOM SATELITESラストライブ記

川島道行の逝去により終幕となったBOOM BOOM SATELITESのラストライブ「FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE」は、良し悪しの軸とは別のとこに触れる、とても不思議なステージだった。

ライブ序盤はライブが行われるステージ前の紗幕に川島(の生命)に見立てた映像が映し出されるパフォーマンス内容だった。1曲目「LAY YOUR HANDS ON ME」で小さな火種が川島の立ち位置で燃え、それは恒星やCGへ。続く曲でも川島の声に合わせてビジュアライザの線が震えたり、彼のシルエットが光の粒になって散らばったりと、あらゆる映像表現を精一杯に用いられる。どれも生き物らしさを表現するための力技のように感じた。

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このライブ前後、2つのライブを思い出してた。ひとつはライジングサン2005にて佐藤伸治の代わりにキヨシローやUAらがボーカルを務め、意外性・クオリティ・ストーリーすべて百点マイ生涯ベストアクトのフィッシュマンズ再始動ライブ。もうひとつはHIDEがホログラムで登場したX JAPAN再結成3DAYSライブ。どちらも「いない」をあらゆる形で埋めたライブで、どちらもめちゃくちゃ心底感動した。フィッシュマンズのときは各アーティストと欽ちゃんの思い遣りを痛いほど感じ、Xでは自分を含む我々が全力で補完したという共同作業のトリッピーな気持ちを味わった。

一方のブンサテ。音や映像にどれだけアイデアを投入されていても、ステージのマイクスタンドはやっぱり誰もおらず、不在が不在のままなんですよ。曲に合わせて再生される彼のボーカルトラックの音は控えめで、当然ライブボーカリストの役割は果たさない。過去に体感した2つのライブとはまるで異なる、最後、おしまい、別れ、不在が彩色されたというようなライブだった。

でも、だからこそ、こちらは「いない」をしっかりと受け止めることができた、自分にすら川島の存在感がようやく伝わるくらいに。そこから、その空白に対して「儀式的だ」と思い、ああ今日はそういう場なんだと思い込んだ。もうここは全力案件だと超久々にフロア最前方に突き進み、ライブ後そういや肋骨と足指のヒビ入っていたねってけっこう実感させてもらえた。

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ラストの「NARCOSIS」は、たぶん今後どれだけライブに足を運んでも二度と見られないような時間になった。中野雅之の頭の中にザブザブと潜水していく、心象風景完全再現ライブのような場所。それが数日経った今になってようやく「親友をおくるっていうのはこういうことなんだな」と腹落ちするみたいな、感傷をむき出しで突きつけられたような幕引き。こんなライブがあるんだな。