グッドジョブ本人

いいものや面白いものがたくさんあふれていたよってことやんわりと残しておく

負けない夜の始まり。THE YELLOW MONKEY2017東京ドーム公演初日を終えて

f:id:biftech:20171210104757j:plain

THE YELLOW MONKEYの東京ドーム2デイズ公演の初日が終わった。スタートしてすぐ「オッ市民ホール用の規模感で機材見積もったやつかな」と唖然とするくらい音量と演出がミニマムだったのだけど、音は徐々に調子が良くなり、演出も「最初から言えよ!」とツッコミたくなるスケールアウトで最終的に優勝へ。波のように心を打つシーンが何度も何度も押し寄せ、大変忙しく心を動かした夜だった。

イエローモンキーって本当こうな。どこかうまくいかないところがあって、それコミのブツを彼らは届けてくる。大復活の昨年を経て迎えた今年は初演で吉井和哉が声を枯らし、ドキュメンタリー「オトトキ」は「これはオムニバス形式だから」と思い込まないと安心できない良エピソードぶつ切り映画だ(瞬間瞬間では超感動する)。過去にも解散の引き金となったツアーで「このツアーは失敗」とMCで言ってしまうところや地雷男告白文みたいな吉井の自伝など、あらゆる形でいちいちざわつかせてくださる。華やかなステージ上から届く、いらんカットふんだんのディレクターズカット版。格好よくてきれいなものだけを親しんでいたい身にとって試練のような感じな!と思うことが多い。

その上で「ああ、それでもいいんだな」という気づきをくれる存在が、2016年から再始動したこのバンドだ。彼らはその再結成自体も含め、決してうまくいかなかったあらゆることをライブや作品でどんどん清算していった。今回の東京ドーム公演だって休止前ラストライブの地であり、その数年後に解散発表を行った展示会場だ。自ら「トラウマだった」というその場で、およそ17年越しになる再開の約束をちゃんと叶えた。それも、終わりが見えていた時期に作った希望の歌を添えて。順当な解決よりも結果オーライにしてみせるその姿は、いいことばかりじゃない毎日ですねを痛いほど味わってきた僕にはこの上ないものとして響いてくる。

ロックは死ぬ。27歳でも、40歳でも死んでしまう。でも、それを越えたって我々は生き生きとした存在でいていいよ。不思議な力で全然優勝できてしまう可能性に満ちてるんだぜ。――そんな成功モデルが、あの50代のバンドだ。さあ今日は東京ドーム最終日、きっと音もよくなっているのだろう。負けない夜が今日も待ちきれない。